加賀藩・歴史文化護持協力会 第3回総会

本日金沢歌劇座で第3回総会がありました。
前田名誉会長は都合が悪くなり欠席でしたが、会長の横山氏、副会長の村井氏、本多氏、前田氏の加賀八家の四家のご当主は出席されていました。
加賀藩・歴史文化護持協力会 第3回総会
午前は総会(正会員のみ)後の講演会に出席しました。新規入会受付もありで、一般の聴衆も可能だったのですが、それらを合わせても40人程度で参加が少ないかなと思いましたが、講演会の内容はとても参考になりました。
加賀藩・歴史文化護持協力会 第3回総会
今年度の更新特典として、横山氏所蔵の「宝暦九年金沢城下絵図」と「加賀藩江戸上屋敷御殿平面図」の二点が復刻されて頒布されました。とても大きいけど、それでも文字は読むのがやっとです。
講演会の内容もそれらにちなみ、金沢城調査研究所の木越副所長が「宝暦九年の金沢大火について」、石野氏が「江戸の本郷邸と加賀藩主」というテーマで話がありました。聴衆がすでに歴史的知識があるという前提であるので、内容もざっくばらんながら少し突っ込んだ話があって興味深く聞きました。
加賀藩の江戸上屋敷にも御鈴廊下があったこと知っていますか?ドラマで見るようなあんな派手なものかどうかはわかりませんけど。
北國総研自主研究公開座談会
それで、午後は護持協力会協賛で、北國総合研究所の「北國総研自主研究公開座談会」に参加してきました。こちらは定員200名ということで会場も手狭でしたが、城郭石垣の第一人者である金沢城調査研究所所長の北垣聡一郎氏と、造園研究の第一人者である京都造形芸術大学の中村利則氏、そして近江坂本から穴太衆の最後の棟梁栗田純司氏の3人により、「解けてきた金沢城の謎 よみがえる玉泉院丸から」というテーマで玉泉院丸の価値について、座談会形式で進められました。
司会は総研の小倉主幹でしたが、小倉氏いわく二度とない奇跡の組合せということで、確かに他では聞けない内容でしたね。小倉氏はケーブル放映の自主番組内で、色紙短冊積み石垣の脇の石垣上に空中茶室があったという持論を展開していたのですが、北垣氏と中村氏に1分せずに一蹴されたことをとても殘念がっていましたね。
さて、座談会のなかで穴太の伝統的な石積みは、
・「強」を重んじる積み方
・横目地は通しても縦目地は通すな
・高さの3分の1の裏込めを入れる
という規則があるそうですが、玉泉院丸の色紙短冊積み石垣はその法則を見事なまでに踏襲していないので、石積み集団が積んだのかどうかも疑問だという話がありました。
そういう意味でも玉泉院丸の石垣は、石「積み」ではなく、庭園の石「組み」に該当し、城内・城外問わず、国内にここだけの稀有な遺構になるそうです。庭園だと考えると、滝に見立てた縦長の石組み、一段低い脇石、段々に積まれた(重畳的)奥行きを表現した石垣群と、防御にはとても適さないと思われる石垣の謎が説明できると、中村氏から説明がありました。
北垣氏からは将来的には、整備方法により名勝指定も狙える価値があるということで、石垣修復や泉水整備とともに、対岸にあった御座所附近の復元整備も課題だというまとめで座談会は終了しました。
そこまでの価値だとは想像もしていなかったので、今後がとても楽しみになってきました。金沢城が兼六園以上の観光地になる日もそう遠くないかも・・・?