本多清六 人生計画の立て方

先日から引続き、本多先生の人生計画の立て方を読んだ。読み進めるとこれは最後(3冊目)に読むものだったようだ。今回は人生の歩み方についてさらに感化されるものが多数あった。
「いわゆる人生計画は、向上心の充足-つまりは『努力の予定表』なのである」
「慈善は物を与えるよりも、物を作り出す方法を与えるになり」
処世九則
第一 常に心を快活に持すること
第二 専心その業に励むこと
第三 功は人に譲り、責は自ら負うこと
第四 善を称し悪を問わないこと
第五 本業に妨げなき好機はいやしくも逸しないこと
第六 常に普通収入の四分の一と臨時収入の全部を貯えること
第七 人から受けた恩は必ず返すこと
第八 人事を尽くして時節を待つこと
第九 原則として個人間に金銭貸借を行わぬこと

計画成功への具体的事項
(1)適当なる職業を選定して、専心それに努力精進、可及的速やかにその職業を道楽化すること
(2)時至れば良妻を迎えて家庭生活に入ること
(3)一家の経済独立を確立すること。すなわち、勤倹貯蓄によりその余裕的基礎を築き上げ、あくまでも独立生計の可能をはかること
(4)職業本位の活動をなしつつ、それが最高度の能率効果達成を期し、ついで老後勇退の諸準備をすすめること
(5)生命保険、別途貯蓄、その他の方法により、万一の不幸、災厄、失敗に備えおくこと

本が書かれたのは60年も前のことであるので、時代的に錯誤、変化している部分があるが、原則はほぼそのまま使えるところがすばらしい。現在31にあって、もう5年早くこの本に出会っていれば今の自分はどれだけ違うであろうかと思うのである。が、このタイミングで出会えたこともまた喜ぶべきことである。
また、一生の計画ということで老人の老癖と自戒についても述べている。
老癖六歌撰
・くどうなる気短かになる愚痴になる 思いつくことみな古くなる
・聴きたがる死にともながる淋しがる 出しゃばりたがる世話焼きたがる
・またしても同じ話に孫褒める 独りしゃべって人に云わせず
・いまを貶(けな)し昔を褒めて今朝のこと 昼は忘れてまた聞き直す
・新しい科学まなばず古臭い 詩歌や古典をまた繰り返す
・いまの世に善き事あれど悪しき事 まず眼につきて世の厭わるる

老人自戒七則
一. 名利と齢とに超越して、日に新たなる努力を楽しむ。ただし、他人の名利と齢とはこれを尊重すること。
二. 他者、来訪者の言に傾聴して、問われざるは語らず。
三. 自慢話、昔話、長談義はこれを慎み、同じことを繰り返さぬ。
四. 老人の短所、欠点、失敗を叱らず、かえって同情的にその善後策を教える。
五. 若人の意見、行動、計画を頭から貶(けな)さず、できるだけそれを生かし、助長する。ただし、その欠点や危険を気付いた場合は、参考までにアッサリと注意する。
六. 老人の創意、創作は、一度若人たちの意見に徴し、その賛成を得た上で発表する。しかも、その功は若人に譲り、責は自ら負うことにする。
七. 会議、会合にはまず若人に発言させ、老人自らはその後に発言する。しかも、なるべく若人の言を生かし、補正すべきを補正、いわゆる錦上さらに花を添える意味にしゃべること。

まだまだ先の話ではあるが、自戒を自然と実践できるように歳をとっていきたいと思う。