アントレプレナーDo itを振り返って

2005年度雇用・能力開発機構の主催するアントレプレナーDo itは全33回あり、うち31回受講しました。毎週木曜日夜という日程はハードでしたが、新しい道をスタートしたこの年に受講できて、とても参考になり、進むべき道を示してもらいました。
受講した中でもおすすめの回を紹介します。
第1回 「革命期における経営論」 講演会
第3回 「独立心構え10カ条」
第8回 「社長になる人のための会計知識①」
第9回 「社長になる人のための会計知識②」
第15回 「営業に役立つコミュニケーション術」
第18回 「勝てる企画書のつくりかた」
第21回 「人を雇うときのルール①」
第22回 「人を雇うときのルール②」
第24回 「逆転の発想が生んだ経営哲学」 講演会
第26回 「社員のやる気を引き出すには 効果的なコーチング活用法」
第31回 「できる社員の見つけ方、育て方」
第33回 「プロ経営者の条件」 講演会
4月には雇用・能力開発機構のビデオコーナーにDVDも常備されるようなので、興味のある方はぜひご視聴ください。

アントレプレナーDo it 第33回

最終回の今回は、「プロ経営者の条件」というテーマで、グッドウィル・グループの会長 折口雅博氏の講演会でした。
防衛大学校(公務員)、日商岩井(大手商社)、ジュリアナ東京・ヴェルファーレ(エンターテイメント)、グッドウィル(人材サービス)、コムスン子会社化(介護サービス)と多くの職歴を重ねてきた折口氏ならでわの公務員、商社、民間企業それぞれの立場・視点でのものの見方、考え方は、彼の原動力であって、これだけの成功を収めながらあの物腰の柔らかさをかもし出すのでしょう。
5年で株式公開、10年で売上1000億円という急成長には理念が大事で、社員と理念を共有することが最も大事だという。そのためには、理念を定める→理念を紙に書いて張り出す→毎日唱和し、潜在意識に刷り込む、という作業が必要だという。
加えて、
・社員が自らの思いで仕事するようにし、強みを伸ばしてやる
・完璧を求めず、7割で次へ進む
・社員の評価は、能力×情熱(やる気)×考え方。特に考え方の悪い人間は、会社の成功の妨げとなるので排除する。
最後にして良い話を聞けました。
グッドウィルグループ十訓
一.お客様の立場にたて、究極の満足を与えよ
一.夢と志を持ち、常にチャレンジせよ
一.困難の先に栄光がある、逆境を乗り越えよ
一.物事の本質を見抜け、雑音に動じるな
一.原因があるから結果がある、公正に判断せよ
一.積極果敢に攻めよ、守りは負けの始まりなり
一.スピードは力なり、変化をチャンスと思え
一.自信を持て、謙虚さとを思いやり持て
一.笑顔と共に明るくあれ
一.正しくないことをするな、常に正しい方を選べ

アントレプレナーDo it 第31回

「できる社員の見つけ方、育て方」というテーマで、株式会社ワイキューブ副社長 中川 智尚氏の講演でした。今日の講演はとても気付かされることの多いものでした。ビデオライブラリで鑑賞することをおすすめします。
業績をあげるための3つのポイントは、
1.いかにしていい人材を「採用」するのか
2.いかにして「戦力化」するのか
3.いかにしていい人が「集まる会社」にするのか
最終的には「人材」で業績が決まる。
1.採用について
・能力とビジネスモデルのマッチング ・・・ ビジネスモデルにより必要となる能力は変わってくる。
・価値観(理念)のマッチング ・・・ やる気は下げることはできても上げることはできない。価値観の違う人材は会社にとっても本人によっても辛いだけ。
2.教育(戦力化)について
・クリードリクルーティング ・・・ 理念の言語化、ビジョンポリシーの伝達、経営者への提言、リクルーター育成、経営理念の共有、採用活動 → 価値観の共有された人材獲得
3.環境づくり
・営業の標準化 ・・・営業ツール
人材の集まる会社の正のスパイラル
社員に投資する → 社員満足度UP → 入社したい人材増 → 良い人材を選んで採用 → 業績UP → 更なる投資可能 → (元に戻る)

アントレプレナー Do it 第30回

あと数回になりました。今回は「起業とは 夢を求めて」というテーマで、アニコムインターナショナル株式会社 代表取締役 小森伸昭氏の講演会でした。
動物保険のトップメーカーとなった同社ですが、大学のとき農学部から経済学部に転部し、大手保険会社から経済企画庁に出向したという経歴の持ち主です。動物と健康保険という今まで誰も成功しなかった分野で、個人企業が成功軌道にあるというのはとてもすごいことですね。
全く売れなかった創業期には自殺まで考えた日々もあったようですが、本人も言っているように、話が少し理屈っぽいです。しかしながら、理路整然としており、納得する部分も多々ありました。
自分がなるほどと思った点は2点。
●仕事とは何か?
 産業革命以前は地域コミュニティで職業分担があり、いい仕事をしていれば暮らせた。産業革命後は情報が行き交い、物流が進み、いいコミュニケーションがないと(信用してもらえないと)暮らせなくなった。この傾向は景気の好況期と不況期に似ていますね。
●ブランドとは?
 自分の信念がぶれないこと。他人のイメージがぶれないこと、たとえ本性と違うとも。保険業でいうと、コールセンターの電話対応がいつも一緒であること。3回かけて対応が同じだとこの会社は信用できるという印象になるという。個人企業の場合は、会社=社長のイメージでもあるため、自分のブランディングも必要で、かつ上昇軌道であることが必要です。

アントレプレナーDo it 第29回

「小さい会社のリスク管理と法律の知識」というテーマで弁護士の布施和基氏の講演でした。
限られた時間のなかで「契約」と「債権回収」にポイントを絞ったものとなりましたが、倒産に関しては情報を整理できました。
法的手続・・・裁判所が関与し決められた手続きで進められる
私的手続・・・債務者が債権者との間で進める。債権者は手続きを無視して裁判を起こすことも可能。
法的手続の種類
・清算型:破産・特別清算
 会社を清算してしまう。負債を確定し、資産を回収して換価し、債権者に配分する。
 申立て → 開始決定 → 債権届出 → 配当 → 終結決定
・再建型:民事再生・会社更生
 会社再建をめざす。再建計画案を債務者自身や管財人が作成。債権者がその計画案について賛成し、裁判所が認可すると、一定の割合の債権額がカットされ、残った債権について計画に基づく弁済が行われる。
 申立て → 開始決定 → 債権届出 → 債権者集会 → 裁判所の認可 → 計画に基づく弁済 → 終結決定
 この場合は、申立てから開始決定までの間の契約に注意する。開始決定までは債権カットの対象となる可能性があるため、現金販売など回収手段を考慮する必要がある。

アントレプレナーDo it 第28回

28回は「ヒット商品・サービスのキーワードはこれだ!」というテーマで日経トレンディの編集長北村森氏の講演でした。
2005年のキーワードとして、
1.地方発・中小企業の攻勢
2.復活、逆転
3.幸せ家族を狙え
の3つにまとめていました。
それぞれのヒット商品を次にあげます。
1.こどもびいる 大人の真似をしたい子供心をくすぐる
 鍛栄舎のアルミホイール 短時間・低コスト・少量生産で回復
 鯖江のメガネ 5倍でコストで継ぎ目のない新製品開発
 RE-MIX 岐阜の5大産品の連合体で伝統工芸を海外に売り込む
 男前豆腐 奇抜な商品名とパッケージで引き付け、味でダメ押し。リピーターを口コミで広げる
 バケツプリン 面白さで評判になり、味でダメ押し。
2.ウィルコム定額プラン 音声通話の定額制により、まさかの復活
 -196°C 明快なネーミングとCM
 祝ケータイかいツー!たまごっちプラス 粗いドット絵を残したことで結果的に新規客開拓に成功
 愛知万博 組織の見直しにより、客の不満を解消する策を矢継ぎ早に打ち出す
 ツーカーS 機能をとことん省いた簡単携帯で躍進
 リセッシュ 緑茶成分入りという健康志向が利用者にわかりやすかった
 ペリボーグ 連射できるという機能がファミコン世代のこころをくすぐった
 大人の社会見学 体験の復活でヒット
3.金沢21世紀美術館 体験型で子供をリピーターにする
 ディズニーキャラクター正月飾り 15年がかりで米国ディズニーをくどき、キャラクターものの正月飾りを発売
 二期倶楽部 那須の高級リゾートホテル。カップル憧れの存在であるが、子供づれの客も楽しめる雰囲気づくり
 ホームスター 初の光学式家庭用プラネタリウム。本格派で2万円と高額ながら手に届くぜいたくとして大ヒット
 ヨドバシカメラマルチメディアAkiba 家族をターゲットに出店
 キッザニア東京 子供向け体験型パークとして今年10月オープン予定。大きなトレンドの予感 
 エアロRC コスト削減のための「組み立て式」採用が思わぬ効果に

アントレプレナーDo it 第27回

あと数回となりましたアントレプレナーですが、「ビジネスプランプレゼンテーション」というテーマでアプリケーションプラスの羽田野二稔氏の講演でした。羽田野氏は第6回「ビジネスプランはこうつくる」の1度登場しています。
ビジネスプランを作成し、発表する過程の中で自らの創業プランを練ることができるというメリットはいいですね。自分はここまで詳細なプランなしで勢い独立していましたから。未だに詳細なプランは作成していないですね。第6回の講演の後、真似して途中まで作成したんですけど資金計画の前で止まっています(^^ゞ
来週は「ヒット商品・サービスのキーワードはこれだ!」というテーマですが、金沢市の21世紀美術館が紹介されるようで楽しみです。

アントレプレナーDo it 第26回

26回目の今回は、「社員のやる気を引き出すには 効果的なコーチング活用法」というテーマで、有限会社ラーノロジー 代表取締役 本間正人氏の講演でした。
コーチングの基本
考え方は3つ
・相手の可能性を信じる ・・・ 信
・相手の良い所を見て心にとめる ・・・ 認
・相手の持ち味を活かして任せる ・・・ 任
スキルも3つ
・傾聴のスキル ・・・ 相づち、うなずき、繰り返し
・質問のスキル ・・・ 相手から引き出す
・承認のスキル ・・・ 相手を認める、否定しない
ほめ活かし、ほめ育ての3か条
・事実をほめる ・・・ 漠然としたことではなく、細かいことをほめる(例えば、「今の電話対応良かったよ」)。事実でないことをほめるのは、「おだてる」という。細かいことを叱られるとむかつくが、細かいことをほめられると喜ぶ。
・タイミングよくほめる ・・・ 旬をはずさない。「3週間前のレポート良かったよ」と後で言われても実感がわかない。そのために、日頃からほめるボキャブラリーを増やしアウトプットの練習をする。
・心をこめてほめる ・・・ シンプルな言い回しでよい。言葉よりも顔の表情やアクセントから90%以上伝わる。
効果的な叱り方
・「怒る」とは、自分の感情の発露であるため、その場限りの抑止効果はあっても、ネガティブ・イメージ・コントロールにより、再発される可能性が高くなる。例えば、「遅刻するな」といえば、遅刻するイメージをしてその通りになる。
・「叱る」とは、理性的な対応であり、然るべきビジョンを示すことである。どうしないといけないのか、どうしたほうがよいのか、理想的なイメージを相手に伝えることである。
・「叱り上手」という言葉は存在しても「怒り上手」という言葉は存在しない。
コーチングのGROWモデル
1.G(Goal) ・・・ 目標を具体的なメッセージとして相手に伝える。
2.R(Reality、Resource) ・・・ 今どんな状況にあるのか(現状把握)、使えるもの(資源としての、人、物、金、情報、時間)のマネジメント
3.O(Options) ・・・ 他のやり方を常に考える。既存概念にとらわれず、選択肢を豊富に持つ。
4.W(Will) ・・・ 目標達成の意志・やる気を確認する。
怒ってはいけない、ということではなく、火事場の場面では即断即決で怒ってよい。この場合、抑止、中断が目的のため。ここは育成したいという場面においてコーチング手法を取り入れる。ほめる、叱る、ほめるのサンドイッチは理想だが、相手によっては比率・比重を変えるべき。これに関して黄金率は存在しない。
今回の講演はとても有意義でした。本間氏は3年?同じテーマで講演しているようなので評判いいのでしょうね。確かに日頃実践している方でも考え方を整理するのに最適です。

アントレプレナーDo it 第23回

昨年受信不良で受講できなかった「起業家に聞く 創業体験談②」をビデオで見ました。
北海道・しーおー・じぇいぴー 代表取締役 木下勝寿氏
ウィズ 代表取締役 宮崎弥生氏
今回の体験談はともにネット販売で成功した方です。成功の秘訣は既存の方法の逆を行っていることですね。
北海道特産品はもともと特産品として有名だったのでお客に対して不親切ということの逆、集客をメインに徹底的に特産品の良さをアピールした。
カツラは、1個40~80万円するものを14万8千円、16万8千円という低価格で提供。さらに、オーダーメイドの始めから終わりまで一人の美容師が担当するという安心もおまけに成長した。かつら、って持ってない人はわからないんですけど消耗品らしく2、3年で買い換えるようです。買い替え需要的にはめがねやコンタクトレンズに似てますね。
成功している人の話を聞くのは勇気をもらえますね。

アントレプレナーDo it 第25回

アントレプレナー25回目は「知っておきたい自分と社員のメンタルヘルス」というテーマで、横浜労災病院の山本晴義氏の講演でした。心療内科医である山本氏は軽快な語り口でとても分かりやすかったですね。
バブル後は1億総うつとも言われるようなストレス多い世の中となりました。社員に対してはもちろん、経営者自身がうつにならないようにうまくストレスを解消していくことが重要です。年間の交通事故死が7千人に対して、自殺死は3万人。最近は大きなニュースにもなっています。
山本氏はストレス一日決算主義と称して、早いうちにストレスを解消することを提唱しています。
S スポーツ・・・記録より楽しむことが重要
T トラベル・・・自然との触れ合いが重要
R レスト&レクリエーション・・・休息と遊び
E イーティング・・・栄養素ではなく旬のものを皆で囲む
S スピーキング&スィンギング・・・大きな声で人と話す
S スリーピング&スマイル&酒・・・起きる時間が毎日同じであれば寝るのは眠たくなったらでよい。
自分でできる職業性ストレス簡易調査
中央労働災害防止協会
東京医科大学衛生学公衆衛生学教室