金沢城 三十間長屋の鉛瓦の変色は再生品が原因

調査したのは、「城と庭のボランティアガイド」を務める郷土史家の安井史郎さん。三十間長屋の屋根瓦は灰白色の「鉛瓦」と呼ばれ、木材の上に鉛板を張り付ける構造となっている。現在、屋根の中心付近を境に、くっきりと南側半分が大部分変色している状況にある。
数年間からボランティアガイドを務める安井さんは、観光客から屋根の色の違いについて何度か指摘を受けたことをきっかけに、自身が通う県民大学校大学院の研究テーマに選び、半年前から調査を進めてきた。
三十間長屋は1966年から69年にかけて大規模修復され、その当時に瓦もすべて葺き替えられた。安井さんが金沢城・兼六園管理事務所を通じて施工業者に問い合わせたところ、修復の際に半分は旧来のものと同質に近い成分になるよう検討された新品、もう半分は古い鉛を鋳直した再生品が使われたことが分かった。
安井さんは再生品の成分が変色につながったとみて、鉛材メーカー二社に見解を尋ね、鉛中に含まれる鉄や銅などの不純物の影響で変色したとの結論に至った。(北國新聞2007年9月14日付記事)
金沢城三十間長屋
先々月撮影した三十間長屋の写真(右側が北向)