機器内雑音が無線性能を左右する

「携帯機器に組み込んだ無線LANの通信速度が本来の半分程度しか得られない」
「ノートパソコンに搭載しいたワンセグ放送の受信機能できちんと映像が映らない」
日経エレクトロニクス6月18日号によると、携帯電話機やノートパソコンといった機器の無線や放送関連の機能で当初の設計どおりに性能がでない現象が増えているという。この原因として注目を集めているのがEMC問題である。内蔵するLSIやプリント基板で発生した電磁雑音が、無線の受信回路などに悪影響を及ぼす現象を指している。
従来、電磁雑音の問題といえば機器間のEMCを指すことが多かった。日本のVCCI規格や米国のFCC規格など、各国・地域で定める自主規制や法規制が対象とするのがこの問題である。他の機器の誤動作や破壊を防ぐため。エレクトロニクス機器を製品化する際は、これらの規制を遵守することが必須となっている。
一方、機器内のEMCで問題にあるのは、LSIやプリント基板など雑音の発生源から数cmしかはなれていない近傍における電磁雑音であり、その強度は極めて小さい。
ハードウェアは利用するだけの身であり、なにげなく使っている新機能ではあるが、コンパクトかつ高性能化に対する製造の苦労が偲ばれる話であった。