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発行:金沢市生活環境部
発行日:1995年3月
ページ数:30P
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「今も金沢には石引という言葉が町の名前として残っています。これは戸室山から切り出した石を金沢城などへ運搬した道、いわゆる『石引き道』の経路であったことが由来となっています。金沢における石切りも今では、ほとんど姿を消してしまい、昔からの言い伝えなどを知る人も少なくなりつつあります。現在、戸室山の麓には市の埋立場が設置され、金沢市民にとって大切な役割を担っていますが、その周辺に残る貴重な文化遺産として、平成五年度から石引き道について調査を進めてきました。調査は、現地調査から聞き取り、文献調査と多方面に及び、この度戸室石引き道調査報告書としてまとめることができました。」
兼六園の東側に真っすぐの道があり、「石引」という町の名とともに金沢城の石垣の石を引いてきた石引き道だということは、石川県民にはよく知られた話である。それでも、その先戸室山までの道のりは?というと正直知っている人はほとんどいないのではないだろうか。道は時代とともに変化していくものであり、追跡も困難なものとなっていく。そういう趣旨で各都道府県が実施した「歴史の道調査報告書」があるのだが、本書は戸室石引き道を少ない伝承と古文献などから検証している。現在では少し異なる道のりも戸室山付近ではあるようだが、小立野台地に入るところからはほぼこの報告書のとおりであろう。
最近金沢城関連では、「塩硝の道」がクローズアップされているが、「石引の道」に関する報告書があることをつい最近知った。本書は図書館で借りて、一部コピーを所有している。
カテゴリー: 城郭
金沢城址の発掘
七尾市内遺跡発掘調査報告書Ⅱ -七尾城下範囲確認および開発に伴う事前調査等の発掘調査報告書- 七尾市埋蔵文化財発掘調査報告書第25輯
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編集・発行:七尾市教育委員会
発行日:2002年3月29日
ページ数:41P+図版28P+付図1枚「小丸山城跡周辺地形測量図」
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
本書は、七尾城下町遺跡(平成8年度~10年度)、小丸山城跡(平成12年度)、岡町礫石経塚群(平成13年度)の調査報告書である。特に、小丸山城については初めての本格的調査であり、千田嘉博氏により縄張り図の作成もされている。また付図として小丸山城跡周辺の地形図も大判で添付されていて非常に参考になる。本書は図書館で借りて、一部コピーを所有している。
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七尾市内遺跡発掘調査報告書 -古府・国分遺跡、七尾城跡範囲確認調査- 七尾市埋蔵文化財調査報告 第21集
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発行:七尾市教育委員会
発行日:1996年3月29日
ページ数:50P
編集:七尾市教育委員会文化課
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「七尾市は、現在人口約5万人を擁する能登の中核都市であるが、古代においても国府や国分寺、中世においても守護所が構えられていたことから、一貫して能登の政治・経済・文化の中心地であった。そのことから、遺跡密度も高く、開発との調整が七尾市における埋蔵文化財保護の急務な課題の一つとなっている。特に能登国分寺跡や能登国府比定地である古府・国府遺跡、七尾城下町比定地の開発が近年目ざましくなってきている。反面、能登国府や七尾城下町に係わる発掘調査がほとんど行われていないことから傍証する資料は乏しく、範囲などの詳細は持論の域で、地名や伝承から漠然と想定されるにすぎない状況にある。この両者の遺跡は、全国的にも重要な遺跡と考えられ、保護と開発の両面からも性格や範囲の解明が急務となってきている。」
七尾城跡ではシッケ地区に続いて、城下町推定地を6箇所調査している。今回も遺構・遺物が多数出てきている。本書は図書館で借りて、一部コピーを所有している。
七尾城下町遺跡 七尾城跡シッケ地区遺跡発掘調査報告書
史跡七尾城跡石垣保存修理工事報告書
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発行:七尾市教育委員会
発行日:1990年3月30日
ページ数:21P
編集:七尾市教育委員会文化課
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
本書は、昭和60年10月18日輪島沖地震(七尾震度3)に起因して崩落した桜馬場前面の石垣修理の報告書である。崩落場所は、七尾城の写真でよく使用される、桜馬場から案内板方向に何段にも積み重なる石垣のうち、階段を登ってすぐ前の石垣である。本書表紙写真でいうとほぼ中央となるであろうか。
七尾城石垣は昨年3月末の能登沖地震でも崩壊している。本書修理箇所は問題なかったが、すぐ下の段が一部崩壊、土塁を含めると複数箇所が崩壊している。こうしてみると、立派な石垣であるが、当時もしばしばこうやって石垣修理したのであろう。本書は図書館で借りて、一部コピーを所有している。
歴史景観の復原 地籍図利用の歴史地理
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出版社:古今書院
発行日:1992年10月初版
ページ数:257P
著者:桑原公徳
定価:3,800円(当時) 絶版
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「本書で課題とする景観は、景観論争や歴史的景観の保全問題などの今日的課題に直接かかわるものではない。本書が対象とするのは、古代~近代の各歴史時代の景観である。しかし、過去の景観の研究には、現在の景観が重要な資料となるので、両者は無関係ではない。近現代につくられた記録・写真・地図類などのうち、古代~近代の各種の景観復元に最も有効な資料となるのは地籍図といってよいであろう。とくに、明治前期に作製された地籍図は、精度の低いものもあるが、それでも過去の景観をとどめている場合が多い。本書では、これらの古い地籍図を利用し、古代から近代にかけての各種の景観を検討している。」
地籍図から当時の景観を復元する作業に関する論文を集めたもの。観点はとても面白く、イラスト入りで分かりやすく説明されているのだが、もとになった地籍図の写真が見にくい。もともと大きなものであったり、彩色されているものをモノクロで掲載しているので限界があるのだろうが残念である。桑原氏は地籍図の利用に関する著書に多く参加されている。しかし、そのほとんどは現在では図書館で見るのがやっという状態であり、刻々と開発が進む現代でこそ、早急にこういう研究を進めなければならないと思うのだが・・・。


特別史跡名護屋城跡並びに陣跡4 名護屋城跡発掘調査概報 -山里丸発掘調査-
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発行:佐賀県教育委員会
発行日:1989年3月31日
ページ数:15P+図版15P
定価:不明
オススメ度:★★★☆☆
「本県教育委員会は、文禄・慶長の役における遺跡である、特別史跡『名護屋城跡並びに陣跡』の保存整備事業を、昭和51年度から進めております。事業としては、この10数年の間に豊臣秀保陣跡・堀秀治陣跡などの陣跡を中心に実施してまいりまして、名護屋城跡に着手するのは、今回が初めてであります。調査では新たな門跡や石段を発見できましたが、名護屋城跡にこれほどの遺構が埋もれていたことは大変な驚きでありました。」
書評:
本城跡の初の調査ということで、山里丸の報告だけではなく、本城に残る石垣の写真が掲載されている。
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正院川尻城跡 遺跡詳細分布調査報告書
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発行:珠洲市教育委員会
発行日:1987年3月
ページ数:36P
定価:非売品
オススメ度:★★★☆☆
書評:
「今回、3年間にわたり遺跡詳細分布調査を実施しましたが『正院川尻城跡』も、本市において数少ない中世の城跡であります。これまで、文献・伝承などでしかその存在を図り知ることができなかったのでありますが、この調査でようやくそのたしかな存在、範囲などが学術的に立証されたのであります。」
石川県正院川尻城跡の唯一の公式な調査報告書。本書の調査まで伝承の城であった本城が、空堀や大規模な造作が確認され、臨時的な砦ではなく恒常的な中世城跡であることが報告されている。本書は図書館で借りて、一部コピーを所有している。
<2011/07/25更新>
古書で入手することができました。
